塩野七生さんなら、医療ホームページをどうつくるか
医療ホームページ、クリニックのウェブサイトを作成しつつ、毎日考えていること。ひとりごとなので、気にしないでください。
開業医のドクターの人柄を、読者にわかるように
南チロルの山の上からiphoneで、ローマにお住まいの作家の塩野七生さんにお電話しました。
塩野さんは、編集者時代にお世話になりまして、陰になり日向になりいろいろお気遣いいただいてきた大恩人です。
それで塩野さんから「仕事のほうはどう?」と聞かれて、「お陰さまで、クリニックのホームページをたくさん作っています」とお話しすると、「それはおもしろい。医療機関のホームページは重要です」とお話が盛り上がり、「わたしだったら、こういうホームページを作りますね」という話題になりました。
「わたしが医療ホームページを作るとすると、ドクター個人がどのような人なのかを読者にわかるようにちゃんと出すべきだと思います。それは趣味が何かといった浅いことではダメで、そのドクターがどういう人なのか本質的なことが読者に伝わらなければならない。命を預ける側の患者であればそれがいちばん知りたいことです」と塩野さんはおっしゃるんです。そこのところは当社が常に心がけていることです。
そこで、「どうすれば、ドクターの深いところの人となりがわかるようにできますか?」とお訊ねすると、「わたしだったらこうしますね。お医者さんにもわたしのファンの方が沢山いらっしゃるみたいですけど、この前東北大学のドクターのみなさんにお目にかかる機会があって、そのとき『ローマ人の物語』の中に出てくるどの人物が好きですかとお訊ねしたんです。
カエサルが好きという人は多いけど、たとえばアウグストゥスやスッラが好きと答えられるドクターがいれば、それでその人のことはよくわかりますね。そこから話が広がります。「アウグストゥスのどこが好きですか?」と聞いていけば、そのドクターが本質的にどのような人なのか、どのような考え方をする人なのかに、すぐにたどり着けます」というお返事で、これには「なるほど、参りました!」と唸ってしまいました。
塩野さんの作家としての洞察力や、フェデリコ・フェリーニや黒澤明といった大巨匠たちにインタビューして来られた鋭い取材力、質問能力にはいつも感心するのですが、こんな鮮やかな切り口があるんだなあ」と教えられました。
(フェリーニ監督は気難しいインタビュー嫌いで、「インタビュー時間は1時間に限る」と言われていたのに、塩野さんがNHKに頼まれて話を聞きに行くと3時間しゃべり続けたそうです。フェリーニ監督は日本人がフェリーニ自身をインタビューしに来ているのを自分の映画のシーンとして描いていますが、あれなんか塩野さんがモデルなんだろうなあ。本当にすごいことです)
当社ももっとドクターから深い話が取れるように、インタビュー方法を工夫改善したいと思います。
作家としての熱意とサービス精神のすごさ
あと、塩野さんとお話ししていつも感銘を受けるのは、仕事に対する真摯なご姿勢です。以前お目にかかったときは、友人の国会議員と一緒に伺ったのですが、翌日から『十字軍物語』の執筆に取りかかるという日で、お話ししていても、翌日からの執筆に前向きにのめり込んでおられる姿勢と緊張感がひしひしと感じられるんです。「こんな大作家でも執筆の前には緊張するんだ!」とびっくりしました。
それまで精力的に取材して掴んできた素材を、どのように文章化して、読者にちゃんと伝わるようにするかという、そういう熱意です。ここまでご執筆に人生を賭けておられるのであれば、それが読者に伝わるのは当然だと思いました。
きちんとした構想力、取材力、インタビュー能力、それらが「伝えたいことの本質を読者に伝えるためにはあらゆる犠牲を払う」という作家としての熱意とサービス精神に支えられて、『ローマ人の物語』2200万部+韓国語版250万部という大ヒットになっているんだなあと実感しました。『ローマ人の物語』の中国語版も刊行されましたし、いよいよ電子書籍化にも取り組まれるそうです。
何より大切なのは、「読者のためを真剣に考える」ことなんです。昔の出版文化には、それがありました。わたしも仕事していて、先輩から教わったものですが、塩野さんは、数々の名編集者と仕事をしてこられて、その辺の感覚をものすごく引き継いでおられます。
読者を中心にものごとを判断するから、外国に長年住まれていてもご判断にまちがいがないのだと思います。15年もかけて、非キリスト教徒として古代ローマ史を書くという、とんでもない冒険を大成功させることができたのは、この真摯な姿勢をお持ちだからだと思いますね。
お話ししていて、「塩野さんの製作姿勢を100分の1でも見倣いたい」と決意を新たにしました。塩野さんも「医療情報のインターネットによる広報は価値あることだ」とのご認識で、最後は「あなた頑張りなさい!」とお尻を叩かれてしまいました。
その後チロルの山から降りて、ヴェローナ〜ボローニャ経由でローマに伺って、お目にかかって楽しくお話ししました。2013年12月に、3年かけた大作の次回作が出版されます。これは歴史の教科書にはちょっとしか出てこないのですが、わたしも旅をしてからその男の成し遂げた仕事の大きさを実感した王の話、『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 』です。わたしもいまから読むのを心待ちにしています。
あともうひとつ、備忘のため、この時にお電話で塩野さんから伺ったことを書き留めておきます。
「才能がある人は多い。しかし才能は補強しなければ失われてしまう。そして才能の補強は異分子を受け入れることによって行わなければならない。たいていの才能ある人は、同じタイプの人から補強を受けようとしてしまう。しかし、それでは才能の補強にはならない」
……拳々服膺したいと思います。
[2015.10追記]
また今年も、ローマで新刊脱稿直後の塩野さんにお目にかかりました。
新シリーズが12月に出版されます。
これは、塩野さんの新境地を開くものであり、またこれまで書かれたものと深く繋がっていて、その意味をさらに深めるテーマでもあります。
そして何より、ご本人が一番おもしろがっておられました。こんなに書き終わった後で、ひとりでおもしろがっている塩野さんは見たことがありません。ひょっとして「ユリウス・カエサル」以来なんじゃないですかね。
ひとりで思い出しては「ホントにおもしろいのよ」と笑っておられました。
このネタについては3年くらい前から伺ってはいましたが、ほんとに着々と勉強されて、ものにされてしまう実現力には敬服します。
そしてお話の中で、もうすでに2巻目のことについてたびたび言及されていました。もうすでにそっちに頭が行ってらっしゃるんですね。この2巻目については、「『ローマ人の物語』の1巻目と2巻目を合わせたような感じになる」とイメージをおっしゃってました。
超偉人が2人出てきます(わたしはこのうちの一人が1巻目の主人公になるのかと思っていました)。これもおもしろくならないはずがありません。
肝心のまず12月に出る1巻目では、「EUの核とは何か」についても言及されているそうですよ。乞うご期待!
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